退職の決断。
それは、とっても勇気のいることでした。
公務員であった私は、
いわば、終着駅まで決められたレールの上を命綱つきで歩いていました。
退職するということは、
その命綱をはずし、もやがかかった先の見えない道を進むようなもの。
急に崖の下に落ちてしまうかもしれないし、行き止まりかもしれない。
「安定」というお守りは手放すのが惜しかったし
「公務員」という肩書きは、何も持ち合わせていないわたしにとっての唯一の誇りでした。
でも、その陰に隠れて息をひそめて生きていました。
40歳という、人生の折り返し地点とも言える年齢を超えた時、押し隠してきた自分の気持ちがだんだんと大きく膨らんできました。
働いていることを言い訳に、たいした家事はしませんでしたが、それだってご飯を作ったり子どもたちの送迎をしたり。担当している仕事はきちんとこなしたい、でもお迎えの時間があるから働ける時間は限られている。育児休暇復帰とともに移った所属の業務内容にもいつになっても慣れられず、仕事のできない情けない先輩になっていきました。
トイレの往復以外は席を動かず、つねに焦っていました。朝、子ども達を送り出した時点でもう疲れていました。夜、夕飯を食べ終わって皿洗いをしてる時は意識があるのかないのか自分でもわかりませんでした。
家族、仕事、時間、そして自分……何ひとつ大切にできていない自分を責め続ける生活。これ以上は無理だと思ったのはもう3年も前でした。でも、やっぱり怖かったんです。
安定を手放すことが。
公務員でなくなることが。
やっと、ついに辞めることができました。
わたしの最大のチャレンジです。
もちろん、いまでもすっごく怖いです。
まだ未舗装の砂利道を進んでいって、森で迷ってしまうかもしれない。
それでも、自分の足で歩こうと決めたことを後悔しないように。
もうちょっとだけ休んでから。
きちんといろんなことを大切にできる人生の地図を描いてみようと思っています。